安全衛生優良企業公表制度評価基準の解説①

(対象となる企業の範囲)
※全ての業種の企業です。
※認定の単位は企業単位とします。ここで企業とは、会社法等に定められる法人、協同組合、個人商店等をいいます。各項目は企業の単位での取組を確認しています(いわゆる子会社や構内協力会社等は含まれません。なお、一部の認定基準の項目において、現場や構内の協力会社の状況を確認するものがあります。)
※従業員とは、当該企業の事業場で雇用されている全ての労働者をいいます。

(参考)厚生労働省では、事業場が適切な安全衛生対策を実施するよりどころとなる「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に関する指針」を定めています。
一部の項目に(参考)と記載のある「JISHA方式・・・」等は、労働災害防止団体の安全衛生の取組に関する認証制度の認証基準のうち、各項目に相当する認証基準項目を参考として記載しています。
・「JISHA方式適格OSHMS基準」とは、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」を踏まえ、中央労働災害防止協会において定められた基準です。これにより、中央労働災害防止協会は、事業場のOSHMSの運用について、審査・認定を行っています。
・「COHSMS認定基準」とは、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」を踏まえ、建設業労働災害防止協会において定められた基準です。これにより、建設業労働災害防止協会は、建設業の事業場のOSHMSの運用について、審査・認定を行っています。
・「GSC中小評価事業評価項目」とは、中央労働災害防止協会が実施している中小企業労働安全衛生評価事業(グッド・セーフティ・カンパニー)において定める基準です。基本的な安全衛生活動とそれを継続するための基盤について評価し、登録・公表する制度として、主に中小企業向けに展開されています。

第1 企業の状況として満たしていることが必要な項目(必要項目)

1 労働安全衛生法等の違反の状況※状況を確認するもの

①過去3年以内に労働基準関係法令の違反で送検されていないこと

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面。
なお、以下、第1の各項全てを満たしている場合は、その全てを満たしている旨を記載した書面を提出することでよい。安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、申請企業の事業場において、労働基準関係法令(ここでは、労働基準法、労働安全衛生法、作業環境測定法、じん肺法及びこれらの法律に基づく命令を指す。)の違反により送検された事案(以下「送検事案」という。)が発生していないことを確認するものである。「過去3年以内」とは、申請日から遡って3年(又は申請企業が設立後3年以内の場合は、設立後の期間)をいう(以下同じ)。
申請企業は、企業内の全ての事業場において、送検事案がないことを確認し、その旨を書面で明示することとなる。

②過去3年以内に労働関係法令に重大な違反が認められたことにより、行政機関から企業名の公表又は認定の取消しをされていないこと
(例)高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づく勧告がなされ従わなかったことによる企業名の公表
(例)障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく勧告がなされ従わなかったことによる企業名の公表
(例)雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律に基づく勧告がなされ従わなかったことによる企業名の公表
(例)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づく勧告がなされ従わなかったことによる企業名の公表
(例)短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づく勧告がなされ従わなかったことによる企業名の公表
(例)女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく勧告がなされ従わなかったことによる企業名の公表
(例)労働安全衛生法に基づく勧告がなされ従わなかったことによる企業名の公表
(例)次世代育成支援対策法に基づく認定一般事業主の基準を満たさなくなったことによる認定の取消し
(例)青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく認定事業主の基準を満たさなくなったことによる認定の取消し

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、申請企業の全ての事業場において、上記の例示のような労働関係法令の違反により行政機関から企業名の公表又は認定の取消しをされた事案(以下「公表・取消事案」という。)が発生していないことを確認するものである。
申請企業は、企業内の全ての事業場において、公表・取消事案が発生していないことを確認し、その旨を書面で明示することとなる。

③労働安全衛生法第98条に基づき、労働基準監督署長等から機械・設備の使用停止命令、作業の停止命令を受けたものがある場合には、現在、その改善措置を講じていること、又は命令が解除されていること

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、申請企業の関係事業場が都道府県労働局長、労働基準監督署長等により、法違反があるとして機械・設備等の使用停止命令等を受けていないこと、又は受けた場合にあっては、申請時にそれら措置が改善されている、又は命令が解除されていることを確認するものである。
申請企業は、企業内の全ての事業場において、該当する事案がないことを確認の上、その旨を書面で明示することとなる。
申請審査期間中に使用停止命令等の事案が生じた場合、即時又は数日程度で速やかに改善されれば、その状況を確認の上、審査を進めるが、改善の見込みがない場合、改善に一定の期間を要する場合などについては、本項目を満たさないと判断する。
また、認定の有効期間中に使用停止命令等の該当事案が生じた場合、当該認定企業は、申請時の誓約書に基づき、認定書を返納することとなるが、その後、同企業が改善を講じ、命令が解除されれば、解除等以降、同一企業から再申請された場合、本項目は満たしていると判断する。

④現在、労働安全衛生法令の重大な違反についての是正指導を受けたものについて、改善がなされていない事実がないこと

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、申請企業の事業場において、労働安全衛生法令(労働安全衛生法、作業環境測定法、じん肺法及びこれらの法律に基づく命令を指す。)の違反について是正指導(努力義務規定に対するものは含まない。)を受けているものがある場合、当該違反について期限までに改善報告がなされ、適正に改善されていることを確認するものである。
申請企業は、企業内の全ての事業場において、本項目を満たしていることを確認の上、その旨を書面で明示することとなる。

⑤過去3年以内に長時間労働等に関する重大な労働基準関係法令の同一条項に複数回違反したことがないこと

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)本項目は、過去3年以内に次の長時間労働等に関する重大な労働基準関係法令に違反があるとして是正勧告書で繰り返し指摘されているかどうかを確認するものである。
労働基準法第4条、第5条、第15条第1項及び第3項、第24条、第32条、第34条、第35条第1項、第37条第1項及び第4項、第39条第1項、第2項、第5項及び第7項、第56条第1項、第61条第1項、第62条第1項及び第2項、第63条、第64条の2(同条第1号に係る部分に限る。)、第64条の3第1項、第65条、第66条、第67条第2項の規定(労働者派遣法第44条(第4項を除く。)の規定により適用する場合を含む。)及び最低賃金法第4条第1項の規定
また、申請企業は、企業内の全ての事業場において、本項目を満たしていることを確認の上、その旨を書面で明示することとなる。

⑥過去3年以内に違法な長時間労働を繰り返し行う企業の経営トップに対する都道府県労働局長による是正指導の実施に基づき企業名が公表されていないこと

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、過去3年以内に平成27年5月18日付け基発0518第1号「違法な長時間労働を繰り返し行う企業の経営トップに対する都道府県労働局長による是正指導の実施及び企業名の公表について」及び平成29年1月20日基発0120第1号「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」に基づき、公表されていないことを確認するものである。
申請企業は、企業内の全ての事業場において、本項目を満たしていることを確認の上、その旨を書面で明示することとなる。

⑦労働保険の保険料の徴収等に関する法律に定められた労働保険料を直近2年度について滞納の事実がないこと

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に定められた労働保険料を直近2年度について滞納の事実がないことを確認するものである。
申請企業は、企業内の全ての事業場において、本項目を満たしていることを確認の上、その旨を書面で明示することとなる。

2労働災害発生等状況(派遣労働者を含む)※状況を確認するもの

①過去3年以内に法令違反による死亡災害又は障害等級7級以上に相当する重篤な労働災害を2件以上発生させていないこと

(提出資料(例))
申請企業に所属する事業場全ての過去3年に労働基準監督署に報告した労働安全衛生規則第97条に基づく労働者死傷病報告書の写し
労働災害が発生していない場合は、安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
労働安全衛生法の特別安全衛生改善計画制度(第78条)では、過去3年以内に法令違反による死亡災害又は障害等級7級以上に相当する重篤な労働災害を2件以上発生させた企業を当該計画の作成指示の対象としており、このような企業全体での重大な労働災害の再発防止の対象となっていないことを確認するものである。

②過去3年間の全ての年において、企業の同一業種の事業場(厚生労働省の公表する労働災害動向調査において度数率が公表されている業種の事業場に限る)ごとに休業1日以上の労働災害の発生率が、同業種の平均発生率(度数率)を下回っていること
※特定元方事業者の事業場においては、一の仕事の現場、構内で発生した労働災害全体(下請も含む)で換算すること

(提出資料(例))
申請企業における度数率の状況がわかるもの、又は厚生労働省の公表する労働災害動向調査において度数率が公表されている業種の事業を行っている事業場がない旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、厚生労働省において公表している労働災害動向調査において度数率の全国平均を公表している業種(以下、本項目において「対象業種」という。)の事業を行っている事業場については、申請企業の労働災害の発生状況が、同業種平均と比較して低いことを確認するものである。このため、対象業種に該当しない事業場については、本項目による比較を行う必要はなく、申請企業の全ての事業場が対象業種に該当しない場合、その旨を記載した書面を提出すれば良い。
○期間
度数率の比較は、年度ではなく、暦年の単位で行う。対象となる年は、申請時から3カ年前までの暦年分とし、労働災害動向調査が公表されているデータと比較する。(なお、公開されている年のデータのみの比較でよく、例えば、前年分が公開されていない場合は、前々年と3カ年前の比較のみで良い。)
○業種申請企業の事業場のうち、業種が同じものを合算して休業1日以上の労働災害の発生率を算出し、その値が、労働災害動向調査統計表の表1の「計」の「度数率」の「死傷合計」(又は表2の特掲産別に掲げる業種の場合は、表2の「度数率」の「死傷合計」)のうち当該業種に係るものに比べて、各年で小さいことを確認する(小分類の単位(労働災害動向調査統計表表2特掲産別労働災害発生率において示される業種)で度数率が公表されている場合は当該小分類の単位で比較する。)ここで業種とは、申請企業の事業場ごとに、それぞれの事業場の主な業種により分類する。例えば、同業種の工場が複数ある場合や複数の現場で同じ業種に分類されるような工事(事業)を行っている場合は、その工場又は事業ごとに度数率を算出するのではなく、同じ業種の工場ごと又は事業ごとに合算の上、それぞれ度数率を算出することとなる。
事業場ごとの災害発生率は、申請企業が自ら計算したものを申請時に記載し、バックデータとして労働災害一覧や労働者数などの資料を添付する。
○「特定元方事業者の事業場においては、一の仕事の現場、構内で発生した労働災害全体(下請も含む)で換算すること」についての留意
JVで特定元方事業者が複数いる場合についても、その責任の配分によらず、いずれの特定元方事業者においても、当該工事現場の労働災害全体(下請けも含む)を対象として換算することとする。

申請受理労働局においては、申請企業の計算が正しいことを確認するが、行政の保有する情報(申請企業の事業場から提出された労働者死傷病報告書等)と比較して、明らかな誤り(申請企業の事業場から計算対象年に労働者死傷病報告書が提出されているにもかかわらず、労働災害件数が0件で計上されているなど)が確認された場合は、必要に応じて申請企業に対して補正を求める。

③(有機溶剤業務等特殊健康診断の対象業務がある場合)過去3年間の全ての年において、特殊健康診断の有所見率が全国平均を下回っていること
※「特殊健康診断」とは、有機溶剤、特定化学物質、鉛、四アルキル鉛、電離放射線、高気圧業務があること

(提出資料(例))
申請企業の事業場で過去3年間に実施した法定の特殊健康診断の種類ごとの有所見率が分かるもの、又は申請企業に属する全ての事業場で特殊健康診断の対象業務がない旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、申請企業の有害物取扱業務についての特殊健康診断の有所見率が全国平均に比べ低いことを確認するものである。よって、申請企業の全ての事業場で特殊健康診断の対象業務がない場合、その旨を記載した書面を提出すればよい。
なお、提出資料としては、法定の特殊健康診断結果報告の写し、又はそれらを取りまとめたものとし、個々の労働者の健診結果の一覧など個人情報を含むものを提出する必要はない。
有所見率は、労働基準監督署に提出する特殊健康診断結果報告中の受診労働者数に対する有所見者数により算出する。ただし、企業の複数の事業場で同種の特殊健康診断対象業務ある場合は、事業場ごとに有所見率を算出するのではなく、特殊健康診断の種類ごとに、企業内全体での有所見率を算出することとする。(比較する具体的な特殊健康診断の種類は、厚生労働省の公表している「業務上疾病発生状況等調査」の「年別特殊健康診断実施状況(対象作業別)」のうち、有機溶剤、鉛、四アルキル鉛電離放射線、除染等電離放射線、高気圧(高圧室、潜水)、特定化学物質(小計(物質ごとではなく平均))のそれぞれである。)

・期間
有所見率の比較は年度ではなく、暦年の単位で行う。対象となる年は、申請時から3カ年前までの暦年の分とし、公表されている特殊健康診断実施状況(対象作業別)と比較をする。(なお、公開されている年のデータのみの比較でよく、例えば、前年分が公開されていない場合は、前々年と3カ年前の比較のみで良い。)

なお、本項目及び次の項目に関しては、義務付けられた措置(特殊健康診断や作業環境測定)を実施していることを前提として審査基準を示すものであり、有害物取扱業務があるにも関わらず、該当する特殊健康診断を実施していない場合は、言うまでもなく当該項目は満たしていないものである。

④(有機溶剤業務等作業環境測定の必要な業務がある場合)過去3年間、作業環境測定を単位作業場所ごとに実施していること。また、その結果、第3管理区分と評価された単位作業場所がないこと、又は、あった場合には、当該単位作業場所の翌回の測定において第3管理区分以外に改善されていること
※「作業環境測定」とは、有機溶剤、特定化学物質、鉛、粉じんの測定があること

(提出資料(例))
申請企業の事業場で過去3年に実施した法定の作業環境測定結果及びその評価結果の写し、又はそれらを取りまとめた一覧表、若しくは該当する業務がない旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、作業環境測定が義務付けられた業務がある場合に、作業環境測定の結果、当該業務を行っている作業場の作業環境が良好であることが確認されていること、又は、一時的に改善を要する環境となっていても、作業環境測定の評価の結果を受けて必要な措置が講じられ、改善がなされていることを確認するものである。具体的には、申請時より過去3年間に行った各事業場の作業環境測定の結果の経年変化を見て、第3管理区分が2回連続した区分がないことを確認すること。
よって、申請企業の全ての事業場で該当する業務が全く行われていない場合は、その旨を記載した書面を提出すればよい。
なお、本項目の審査の対象とするのは、有機溶剤、特定化学物質、鉛、粉じんに係るもののみであり、それ以外の騒音の測定等については含まない。

⑤直近事業年度において、企業内の労働者の労働時間の状況が次を満たすこと。
・雇用する労働者(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条に規定する短時間労働者を除く。)の1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数が、各月ごとに全て45時間未満であること。
・雇用する労働者であって、平均した1月当たりの時間外労働時間が60時間以上であるものがいないこと。

(提出資料(例))
申請企業全体の直近事業年度の1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数並びに平均した1月当たりの時間外労働時間が60時間以上である労働者数を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、申請に上記の満たさないような長時間の時間外労働又は休日労働がないことを確認するものである。
「時間外労働及び休日労働の合計時間数」とは、労働基準法第36条第1項本文の規定により同項に規定する労働時間(1週間40時間、1日8時間)を延長し、又は休日労働させた場合における、その時間数をいうこと。
ただし、これによりがたい場合については、各月の労働者の総労働時間から各月の労働者の法定労働時間の合計を引いた時間数を把握し、対象労働者ごとの時間数を合計したものを、対象労働者数で除したものとすることとしても差し支えないこと。
「平均した1月当たりの時間外労働時間」については、申請企業全体の直近事業年度における労働者1人当たりの時間外労働時間の合計を12で除して算出すること。
申請時に既に退職している労働者は、分母・分子に含まれないこと。

3 その他優良企業として満たしていることが必要な状況※状況を確認するもの

①過去3年間の企業活動において、「安全衛生に関する優良企業」としてふさわしくない問題を生じさせていないこと
※この項目は、社会的に影響がある同種の悪質又は不適切な事案を生じさせたとして、国から公表等されたことがないかを確認する
(例)法令(労働基準関係法令を除く)に違反する行為により国から告発、送検された
(例)事業者に遵守が義務づけられている法令(労働関係法令を除く)に重大な違反が認められ企業名が公表された
(例)取扱商品、提供するサービスなどが原因で健康被害(死亡者や後遺症が残るような重度の健康障害)を発生させたことが明らかになり、社会的影響が大きいと認められるもの
(例)現に労働安全衛生法第79条による安全衛生改善計画の作成指示を受けている事業場があること
(例)現に構内下請事業者が混在する事業場において、労働災害が多発するなどにより、労働局又は労働基準監督署から元方事業者の取組として計画を策定し取り組むよう指導がなされていること
(例)長時間労働抑制や過重労働対策の取組に問題があり、労働局又は労働基準監督署から企業全体としての改善に取り組むよう指導がなされていること

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
本項目は、申請企業を安全衛生優良企業として認定するにはふさわしくないような事案を生じさせていないか確認するものである。例示に記載されているように過去3年以内に国(厚生労働省に限らない)が申請企業に違法行為があるとして企業名を公表したもの、申請企業の事業場が所轄労働局や労働基準監督署により問題が認められるとして指定され、中期的な改善指導を行っている場合には、本項目を満たさないと判断される。例示の「取扱商品、提供するサービスなどが原因で健康被害(死亡者や後遺症が残るような重度の健康障害)を発生させたことが明らかになり、社会的影響が大きいと認められるもの」について、健康被害のおそれ等に係る指摘を受けて、予防的に自主回収を行っているが、実際には健康被害が発生しなかったようなものは含まれない。
なお、申請企業の宣言によらず行政が保有する情報から例示に示される事案と同等の優良企業としてふさわしくない事業場であると判断される事案があった場合には、本項目を満たさないものとして判断する。

②過去2年間に「安全衛生優良企業認定取消基準」に該当することが確認され、認定が取り消されたことがないこと
※認定を受けたことのある企業が対象

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
過去2年間に安全衛生優良企業として認定されたものの、認定を行った都道府県労働局によって「安全衛生優良企業認定取消基準」に該当するとして取消されたことがないかを確認するものである。
ただし、認定企業が誓約書に基づき自主的に認定書を返納した場合は「認定が取り消されたこと」には該当せず、当該認定書の返納から2年が経過していなくとも、他の要件を満たしていれば認定を行う。

③過去3年間に安全衛生優良企業認定マーク、呼称等の不正使用がないこと
※認定を受けたことのある企業が対象

(提出資料(例))
本項目を満たしている旨を記載した書面
安全衛生優良企業の申請に当たっての宣言書(例)を参照。

(解説)
安全衛生優良企業認定マークや呼称等に係る不正な取扱いは、制度自体の信頼性を損なわせるものであり、看過できないものである。そのため、例えば、安全衛生優良企業の有効な認定期間外に優良企業認定マークを使用し、安全衛生優良企業であることを偽った場合、あるいは有効な認定期間中に優良マーク等の信頼性を利用して、何らかの犯罪行為や社会通念上不適切と思われる行為がなされた場合など、過去3年間に本制度の信頼性を損なうような行為があった場合には、認定は行わない。