安全衛生優良企業公表制度評価基準の解説③

第3 企業の積極的な取組を評価する項目(評価項目)

1 安全衛生活動を推進するための取組状況※取組を評価するもの

①主要な事業場ごとに安全衛生に関して従業員が主体となって行う取組を支援しているか
(例)従業員による活動が進みやすいよう助言したり、事業場の場所・資源を提供する
(例)職場単位での小集団による安全衛生活動に参加しやすいように支援している
(例)従業員が利用できる保健事業や健康保険に関する情報収集をできるよう支援する
(例)万歩計を配布し、社内で積極的に取り組む者を表彰するなど、健康づくりのための自主的な取組を支援する

(提出資料(例))
安全衛生活動に関わる企画などへの案内・参加促進の通知など、各種取組支援の内容がわかるもの

(解説)
事業場ごとの安全や衛生の取組は、企業主体の取組として、安全衛生担当者が主体となり、進行管理も含めて行うものであるが、本項目は、安全衛生活動の取組について、従業員が主体となって参画し、主体となって取り組めるよう企業として支援しているものがあれば評価するものである。
例示に示されている取組のほか、従業員の健康保持増進の活動に関して場所や施設設備の提供、各種自由参加のイベントの提供と参加を促す取組なども考えられる。このように、例示はごく一例であるので、このような趣旨に沿っていれば、評価されるものとする。
ただし、メール等により健康関連の情報提供のみにとどまっているものなどの場合は、この項目に該当するとはいえない。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準9(19)、(20)に相当
GSC中小評価事業評価項目5(6)、レベル評価項目1~6に相当
COHSMS認定基準1-11(2)に相当(具体的事項は、COHSMS認定基準1-10(2)ホ「作業所への指導・支援内容」)

②従業員の健康や安全に関する計画策定や見直しにあたり、本社及び全ての事業場において、広く従業員の意見を求め、その意見を反映できる仕組みを設けているか
※第2の2の③の必要項目と異なり、代表者の意見のみならず、さらに広く意見を聴取している取組

(提出資料(例))
意見交換会等の開催案内、従業員の意見を募集する通知文、それらへの対応を取りまとめた資料など(議事録、募った意見など)

(解説)
本項目は、従業員の健康や安全に関する計画策定や見直しにあたり、本社及びすべての事業場において、広く従業員の意見を求め、その意見を反映できる仕組みを設けているかについて評価するものである。第2の2の③との違いは、従業員の代表のみならず、広く関係従業員の意見を聴く機会を設けていることを確認するものである。単に、意見を求めた従業員がごく一部の従業員に限られていたり(当該従業員が所属する従業員の意見を広く集めている場合はこの限りではない)、全社的な取組であるのに、関連する事業場のうち、ごく一部の事業場の従業員しか意見を求めていない場合などについては、広く従業員の意見を聞いたこととならないので、本項目は不適と判断する。
ここでは、特に健康や安全に関する全ての計画等について行われている必要はないが、特に重要なもの、従業員の関心が高いと思われるものなどについて実施されていることがあれば評価する。
意見募集という形態以外にも、安全衛生の取組に関して、それが実施される前に関係従業員に広く提示の上、具体的な意見交換の実態があることも含まれる。
なお、具体的な目的・提案がないまま常時設置されている意見箱のような漠然とした意見募集があるものについては、この項目に該当するとはいえない。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準2(1)~(2)に相当
GSC中小評価事業レベル評価項目6に相当
COHSMS認定基準1-2(1)に相当

③各事業場の安全衛生組織・担当者の活動が効果的に機能できるよう、継続的に本社からの支援が実施されているか
(例)複数の事業場を統括する安全衛生部門・スタッフなどにより、新規の安全衛生担当者の活動の支援を行っている

(提出資料(例))
安全衛生管理に関する体制図(本社及び各事業場)、本社からの支援体制を示した社内規定等、事業場との会議等を実施している場合はその議事録、本社による事業場の安全パトロール活動等の記録など

(解説)
企業内の規模が大きく、安全衛生組織が専属で設置されている事業場では、安全衛生活動が効果的に運営できるが、それ以外の事業場では、一般的には本社機能からの支援が不可欠である。本項目は、このような全社的な取組を評価するものである。各事業場がそれぞれ企業トップの方針を受けて、独自に安全衛生活動を実施することのみならず、各事業場での安全衛生の状況が本社に共有されており、必要に応じ、本社から支援や助言を受けているような全社的な安全衛生活動の促進がなされているものを評価するものである。
ここでいう支援とは、個別事業場への担当者への具体的な助言や当該事業場への訪問による具体的改善指導を行うことが、組織的に行われる体制にあることである。単に本社が各事業場から報告を受けているだけの場合はこの項目に該当するとはいえない。
複数の事業場を有しない場合には、本項目は該当しないとすること。

(参考)
COHSMS認定基準1-11(2)に相当(具体的事項は、COHSMS認定基準1-10(2)ホ「作業所への指導・支援内容」)

④国、地方自治体又は労働災害防止団体による安全衛生に関する優良とされる表彰(過去3年以内のものに限る)や認証(有効期間内のものに限る)を取得しているか
※企業の複数の事業場で認証等を取得している場合は1点とする

(提出資料(例))
安全衛生に関して優良とされた表彰や認証されたことを証するものの写し

(解説)
本項目は、ここでの安全衛生優良企業の認定制度以外に、既存の各種安全衛生に関する表彰や安全衛生の水準が高いことについての第三者としての認証を受けている場合に加点評価するものである。
ここでの表彰や認証を付与する主体は、国、地方自治体又は労働災害防止団体に限るものとする。ただし、今後、第三者による同種の認証制度であって、適当と認められるものがあれば、順次、対象として追加する。表彰の内容として、安全衛生に関する評価が必須事項としてなされていれば、表彰そのものが、他の目的のものであったとしても差し支えない。また、原則、企業又は事業場を表彰又は認証しているものに限るが、当該企業の安全衛生の取組が評価され、その事実をもって代表して個人が表彰を受けている場合も含まれうるものである(例えば、専属産業医が企業内の健康活動の促進について表彰されている場合に、内容として企業内の健康の取組が優秀と評されている場合など。)。その場合、表彰の趣旨として、企業の安全衛生の取組が評価されていることが確認できるものを添付すること。

2 健康で働きやすい職場環境の整備

2-1健康管理の取組状況

2-1-1健康管理の取組※取組を評価するもの

①企業全体としての従業員の健康の保持・増進に関する計画(年間スケジュール表を含む)を策定し、着実に実施しているか
(例)経営会議、役員会議、労使協議会等の場を活用し、企業全体の合意形成を行った上で計画を策定し、実施している
(例)本社の中央安全衛生委員会で審議した上で計画を策定し、実施している
(例)健康保持増進計画を策定し、健康保持増進措置を実施するスタッフの任命及び研修を行っている
(例)企業の「健康宣言」を策定、公表し、同宣言に基づく実施事項を実施している

(提出資料(例))
計画書(年間スケジュール表となったものを含む)及び進捗管理表など、計画の内容及びその実施状況がわかるもの

(解説)
第3の2-1は、従業員の健康の保持増進に関する積極的な取組状況を評価するものである。評価に当たって参考とされるのは、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年9月1日健康保持増進のための指針公示第1号)に基づく取組があること。
第3の2-1-1①から③までの項目は、従業員の健康の保持増進に係る取組が企業内にてPDCAサイクルのもとで行われているかを評価するものである。本項目は、そのうちのP(計画)とD(実施)の状況を確認するものである。ここでの計画とは、必ずしも従業員の健康保持増進に特化したものでなくてもよく、例えば、安全衛生計画全体の中の一部として、計画に必要な事項が定められていれば適と判断できる。
計画の内容としては、従業員の健康保持増進の取組に関して、具体的な実施時期と措置内容が定められていることをもって評価する。なお、計画に基づく健康保持増進措置の実施状況としては、申請から少なくとも直近1年の間に計画に基づく取組が着手され、実施されていることを確認する。
なお、本項目では従業員の健康保持増進の積極的な取組を確認するものであるので、労働安全衛生法第66条の定期健康診断及び第66条の4の意見聴取のみを行う計画は認められず、健康教育や従業員に対する保健指導等、健康保持増進に資する内容が含まれている必要がある。

② ①の健康の保持・増進に関する計画を従業員と共有しているか
(例)全従業員にメール配信
(例)いつでも閲覧できるよう社内掲示板に掲載

(提出資料(例))
計画に関して、従業員と共有していることがわかるもの。例えば、計画の内容が記載された衛生委員会等の議事録又は計画自体を社内の掲示板で掲示している状況がわかるもの、メール配信や社内のイントラネットの掲示板での周知の実績が分かるものなど。

(解説)
本項目は、①の計画(全社的なもの又は事業場ごとに定めたもの)が従業員と共有されていることを確認するものである。
ここでは、社内のイントラネットの掲示板や社内の閲覧が容易にできる場所に掲示するなど手段は問わず、企業の従業員がいつでも閲覧できる状況にあれば適と判断する。
言うまでもなく、これらの掲示に関しては、そのような情報が掲示されている場所についても、従業員に周知されている必要があること。

③計画の進捗や企業全体の健康の保持・増進に係る状況の分析を継続的に実施できる体制が整っており、当該分析結果の関係者への共有、分析結果に基づく次期計画への反映が実施されているか
(例)健康の保持・増進活動の進捗や成果、課題を共有し、必要となる対策を検討する会議を継続的に開催している

(提出資料(例))
計画の実施状況がわかるもの、実施状況を踏まえた対処の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、①の計画のPDCAのうち、C(評価)とA(改善)の状況を確認するものである。
企業全体の健康の保持・増進のCとAを適切に行うための担当者や組織的な体制を整備するとともに、分析結果や次期計画への反映状況を関係者で共有するには、組織的な検討の場も必要であり、申請に当たっては、このような一連の仕組みが概括できる関係資料を添付する必要がある。(組織図、関係会議の実施状況がわかるものなど)

(参考)
COHSMS認定基準1-2(1)、1-3(2)、1-10(2)(4)、1-13(4)に相当

④健康測定の結果を踏まえた健康教育や健康相談などの健康保持増進措置を全社的に行っているか
(例)事業場ごとに産業医が参画する健康保持増進専門委員会を設置し、個々の従業員に対する健康保持増進措置に関して専門技術的立場から検討を行っている

(提出資料(例))
健康教育や健康相談などの健康保持増進措置の実施状況がわかる資料として、保健指導の結果等を取りまとめたもの、相談窓口の実績等をまとめた資料など

(解説)
本項目は、労働安全衛生法第69条に定める健康教育や健康相談などの実施状況について評価するものである。①の計画の内容に、具体的な健康測定、健康教育や健康相談等の実施事項が含まれている場合は、併せて本項目も適と判断される。
健康教育に関しては、全社的な保健関係の情報提供のみではなく、個々の従業員に対する健康測定に基づく、運動指導又は栄養指導等の個別の具体的対応を実施していることが求められる。
健康相談に関しては、単に相談窓口を設けている事実のみならず、その旨を従業員に周知していることが求められる。
なお、ここでは、従業員の健康保持増進の取組を確認するものであるので、労働安全衛生法第66条の定期健康診断の結果を通知することのみでは、本項目に該当しない。

⑤従業員の健康保持増進の取組に関して、医療保険者(健保組合など)が行う保健事業との連携が図られているか
(例)事業者が医療保険者に提供した定期健康診断の結果に基づき、医療保険者が作成した集団データの特徴を踏まえて、事業者が医療保険者と共同で社員向けの健康づくりイベントを開催している

(提出資料(例))
医療保険者が行う保健事業との連携の状況がわかるもの

(解説)
第3の2-1-1⑤、⑥は、医療保険者(健康保険組合など)が実施する保健事業と連携し、企業が効果的に健康保持増進の取組を行っているかを評価するものである。本項目は、企業の行う取組として、医療保険者との協力や連携がなされているかどうかを確認するものである。
⑥との違いは、⑤は企業の行う従業員の健康保持増進活動について、医療保険者の協力が得られているかとの観点で評価するのに対し、⑥は、医療保険者の取組について、企業が協力をしているかという観点で評価するものである。よって、従業員の健康保持増進活動を企業と医療保険者が協働で行っている事例がある場合は、⑤と⑥は同時に適と判断される。
ここでは、例えば、単に定期健康診断の結果を医療保険者に提供するのみならず、従業員の健康情報の取扱いに留意し、その結果を踏まえた保健事業の取組と企業が企画する健康保持増進の取組について、医療保険者と積極的に協力の上、実施されていることなどが必要なものである。

⑥従業員への保健指導の実施等の医療保険者が行う保健事業について、従業員が参加しやすいよう協力を行っているか
(例)協会けんぽ・健保組合が提供するツールを従業員に周知して、従業員はいつでも自身の健診結果や生活習慣病予防の情報を閲覧できるようにしている
(例)協会けんぽ・健保組合が提供する保健事業について、複数の日程を提示の上、参加希望を聴取しているなど、積極的な参加勧奨を行っている

(提出資料(例))
医療保険者が行う保健事業についての参加案内、参加勧奨の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、企業との連携の下で医療保険者が企画した保健事業について、従業員の健康情報の取扱いに留意している点を含め、健康保持増進の取組が必要な多くの従業員が参加できるよう、企業の積極的な周知、参加勧奨がなされているか等の状況を確認するものである。また、参加勧奨のみならず、医療保険者が行う保健事業に対して、より積極的な協力を行っている事例がある場合は、本項目は適と判断される。
⑤との違いは、⑤は企業の行う従業員の健康保持増進活動について、医療保険者の協力が得られているかとの観点で評価するのに対し、⑥は、医療保険者の取組について、企業が協力をしているかという観点で評価するものである。よって、従業員の健康保持増進活動を企業と医療保険者が協働で行っている事例がある場合は、⑤と⑥は同時に適と判断される。
ここには、単に医療保険者から提供された健康関係情報を社内の従業員に回覧することのみにとどまるといったものは含まれない。

⑦疾病を有する従業員が、治療しながら仕事を続けられるように社内の仕組みを構築し、対象従業員への支援を行っているか
(例)時間単位の有給休暇制度や短時間勤務制度の導入など、柔軟な雇用管理の仕組みづくりを進めている
(例)職場の人事担当者、上司、産業保健スタッフ、本人など関係する者で打合せを行い、必要な配慮がなされる仕組みに基づき進めている

(提出資料(例))
疾病を有する従業員が利用できる社内の仕組み、支援制度などの概要がわかるもの

(解説)
本項目は、疾病を有する従業員が、治療しながら仕事を続けられるように社内の仕組みを構築し、対象従業員への支援を行っているかを評価するものである。
例えば、例示にあるように時間単位の有給休暇制度や短時間勤務制度などが就業規則等において規定されている場合などは、適と判断される。また、明文化した規定がない場合であっても、過去の実績からして、配慮を行っている個別の事案があり、その対応状況(社内の手続の状況)から将来にわたっても同様のスキームで必要な配慮がなされることが見込まれると考えられる場合も適と判断する。

2-1-2健康管理の状況※実績を評価するもの

①過去3年間の各年で定期健康診断の有所見率が前年より改善しているか

(提出資料(例))
過去3年間の定期健康診断の有所見率の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、申請時点において、企業の健康保持増進の取組の結果として、従業員の有所見率が改善している実績がある場合に評価するものである。
過去3年とは、申請日よりさかのぼって3年となるが、申請企業が設立後3年以内の場合は、設立後の期間となる。ただし、企業の設立後1年程度の企業において、定期健康診断の実績が1回分しかない場合には、本項目には該当しないものとして取り扱う。
なお、複数の事業場がある場合は、事業場ごとで有所見を算出するのではなく、企業の全ての労働者の有所見率を合算して算出することとする。

2-2メンタルヘルス対策の取組状況※取組を評価するもの

①企業全体としてのメンタルヘルス対策を推進するための計画を策定し、実施しているか
(例)従業員の意見を聴きつつ、職場環境(ハラスメントなど)について的確に把握し、企業の実態に則した取組をまとめた心の健康づくり計画を策定し、実施している
(例)経営会議、役員会議、労使協議会等の場を活用し、企業全体の合意形成を行った上で策定し、実施している(例)本社の中央安全衛生委員会で審議した上で策定し、実施している

(提出資料(例))
メンタルヘルス対策に関する計画(年間スケジュール表含む)及び計画の実施状況がわかるもの

(解説)
第3の2-2は、従業員のメンタルヘルス対策に係る取組状況を評価するものである。評価に当たって参考となるのは、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日健康保持増進のための指針公示第3号)がある。
第3の2-2の①から③までは、従業員参加の下のメンタルヘルス対策に係る取組がPDCAサイクルとして行われているかを評価するもので、本項目はPDCAのうちP(計画)、D(実施)が行われていることを確認するものである。なお、ここでの計画とは、必ずしもメンタルヘルス対策に特化したものでなくても、例えば、企業の安全衛生計画の一部として、メンタルヘルス対策に必要な事項が定められていれば適と判断する。また、計画については、企業全体のもの又は事業場ごとのもののどちらでもよいこと。
計画の内容としては、従業員のメンタルヘルス対策の取組に関して、具体的な実施時期や措置内容が定められていることをもって評価する。なお、計画に基づくメンタルヘルス対策の実施状況としては、申請から少なくとも直近1年の間に計画に基づく取組が着手され、実施されていること確認する。

②メンタルヘルス対策を推進するための計画を従業員と共有しているか
(例)いつでも閲覧できるよう社内掲示板に掲載
(例)全従業員にメール配信

(提出資料(例))
メンタルヘルス対策に関する計画を従業員に共有していることがわかるもの(例えば、社内のイントラネットの掲示板、メール配信による周知の実績が分かるもの)

(解説)
本項目は、①の計画が従業員と共有されていることを確認するものである。共有とは、社会イントラの掲示板への掲載、社内の見やすい場所への掲示、従業員に対するメール配信など様々な方法があるが、従業員が容易に閲覧できる状況にあればよいものである。ただし、これら掲示を行うのみならず、そのような情報が共有されていること自体も、従業員に周知されている必要がある。

③計画の進捗や企業全体のメンタルヘルス対策に係る状況の分析を継続的に実施できる体制が整っており、当該分析結果の関係者への共有、分析結果に基づく次期計画への反映が実施されているか
(例)メンタルヘルス対策の進捗や成果、課題を共有し、必要となる対策を検討する会議を継続的に開催している

(提出資料(例))
計画の実施状況と実施結果に基づく分析を行う体制がわかるもの、当該分析結果の関係者の共有や見直しが行った場合の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、①の計画に対して、PDCAのうちのC(評価)、A(改善)がなされているかどうかを確認するものである。
ここでは、企業全体のメンタルヘルス対策の分析等に係る担当部署又は担当者がいることのみならず、分析結果等について関係者で共有できる体制(このことを議題とする会議の設置、開催等)が整備されていることも必要となる。ここでの担当部署や体制については、メンタルヘルス対策を専門に行うことを求めるものはない。
分析等の行っている場合は、申請に当たってその分析した結果のわかるもの、その内容を関係者と共有したことが確認できるもの(議事録の写しもなど)を添付する。

④従業員に対しストレスチェックを実施し、その結果に基づき自社の傾向の把握や職場改善を行っているか(例)ストレスチェックの結果を一定の規模以上の部署ごとに集計・分析し、職場改善方策について衛生委員会で審議した上で実施している

(提出資料(例))
ストレスチェックの実施状況がわかるもの

(解説)
本項目は、労働安全衛生法に基づくストレスチェックを実施し、その結果に基づき、職場の集団分析と必要な職場改善を実施しているかについて評価するものである。
ここでは、ストレスチェックの集団分析の実施と職場改善を検討した場合には、衛生委員会等を通じて具体的に組織的な対応がなされることも必要である。一連の対応が事業場ごとに衛生委員会で調査審議されたものであればその状況、企業全体でとりまとめたものがあれば、その状況がわかるものを添付することし、これらの取組が実施されていることを確認の上、適と判断する。

⑤従業員が利用可能なメンタルヘルスの相談窓口を設け、従業員に周知するなどの活用の促進を図っているか(又は利用可能な外部の相談窓口を従業員に案内しているか)
(例)企業で契約している病院又は都道府県産業保健総合支援センターなどの相談窓口の連絡先を従業員に定期的にメール配信するほか、社内掲示板に常時掲載している
(例)メンタルヘルスにも対応した職場環境に関する相談窓口を設置している

(提出資料(例))
メンタルヘルスの相談窓口の設置、周知の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、従業員が利用可能なメンタルヘルスの相談窓口が設けられていることを評価するものである。
相談窓口は、企業内に設置するもの、企業外の外部機関を利用するものも含まれる。また、メンタルヘルス専門の相談窓口でなくとも、メンタルヘルス対策にも対応できるものであればよい。
相談窓口を設けていることのみならず、従業員が利用可能となるように、メール配信や社内のイントラネットの掲示板などにより周知していることが必要であること。

⑥管理者も含む従業員に対し、メンタルヘルスに関する情報提供、教育研修を行っているか
(例)従業員向けに、セルフケアのための研修を定期的に実施するとともに、管理職向けに職場における部下からの相談対応などのロールプレイ形式の研修を実施している
(例)階層別研修などにおいて、よりよい人間関係の構築、ハラスメント対策など職場環境の改善をテーマの一つとして設定している

(提出資料(例))
メンタルヘルスに関する情報提供の状況(メール配信や社内のイントラネットの掲示板などを含む)、教育研修の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、管理者も含む従業員に対し、メンタルヘルスに関する情報提供、教育研修を行っていることを評価するものである。
なお、社内のイントラネットの掲示板等での情報提供に関しては、そのような情報が掲示されていることについて、従業員に周知されている必要がある。
教育研修については、申請前に実施した実施状況の概要がわかるものを添付する。

⑦メンタルヘルス不調者に関する対応について、社内での対応方針を定めて運用しているか
(例)管理者が産業医や(産業医の紹介による)専門医と連携し、対応することとしている
(例)事業場内メンタルヘルス推進担当者が、従業員と産業医との面談等につなげるほか、必要な場合に従業員が産業医から専門医の紹介を得られるように、産業医や専門医と連携して対応することとしている

(提出資料(例))
メンタルヘルス不調者への対応方針がわかるもの(社内規程など)

(解説)
本項目は、メンタルヘルス不調者に関する対応について社内の対応方針を定めて、当該不調者がいる場合に、適切に対処できる状況になっているかを評価するものである。
例えば、不調を訴える従業員がいる場合に、例示にあるように専門医への連携が確保されている、または産業医との面談に向けた手順などが定められている場合は適と判断される。
なお、明文化された規定がない場合であっても、実績として対応がなされた個別の事案がある場合は、その対応についての概要を提出することにより、対応状況(手続の状況)から将来にわたっても同様に対処されることが見込まれると考えられる場合は、適と判断する(この場合であっても、本申請を契機に明文化した対応方針を定めることが望ましい。)。

⑧メンタルヘルス不調により休職した従業員に対する職場復帰を支援するためのルールを策定しているか
(例)産業医等の助言を受け、個々の事業場の実態に即した形で、事業場職場復帰支援プログラムを策定している

(提出資料(例))
職場復帰を支援するルールがわかるもの(社内規程など)(解説)本項目は、メンタルヘルス不調により休職した従業員に対する職場復帰支援について社内の仕組みを構築し、体制が整っていることを評価するものである。参考になるのは、「心の問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成16年10月厚生労働省発表)がある。
例示にあるように事業場職場復帰支援プログラムが衛生委員会等の審議を経て定められている場合は適と判断されるものである。
明文化された規定がない場合であっても、実績として、それら対応がなされた個別の事案があり、その対応状況(手続の状況)から将来にわたっても同様に対処されることが見込まれると考えられる場合は、適と判断する。
上記のような実例での審査を受ける場合は、その実例についての一連の手続の概要が分かる書面を添付する必要がある(この場合であっても、本申請を契機に明文化した対応方針を定めることが望ましい。)。

2-3過重労働防止対策の取組状況

2-3-1過重労働防止対策の取組※取組を評価するもの

①過重労働防止対策として、企業全体の労働の負荷を軽減するための計画(具体的な取組の方針など明文化されたものを含む)を策定し、実施しているか
(例)全社的な時間外労働削減に向けた取組のためのルールとして、労働時間等設定改善委員会を設け、労働時間等の設定の改善に係る措置に関する計画を定め、実施している
(例)過重労働対策推進計画を策定し、職場の管理者、衛生管理者、人事労務担当者、産業医等の保健スタッフによる体制のもとで行う
(例)経営会議、役員会議、労使協議会等の場を活用し、企業全体の合意形成を行った上で計画を作成し実施している
(例)本社の中央安全衛生委員会にて審議した上で作成し実施している

(提出資料(例))
過重労働防止対策の計画(年間スケジュール表含む)及びその実施状況がわかるもの

(解説)
第3の2-3は、企業における過重労働防止対策に係る取組状況を評価するものである。評価に当たって参考とされるのは、「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」(平成18年3月17日基発第0317008号)がある。
第3の2-3-1①から③までは、従業員参加の下、過重労働防止対策に係る取組がPDCAのサイクルで行われているかを評価するもので、本項目はPDCAのうちP(計画)、D(実施)が行われていることを確認するものである。
計画に関しては、必ずしも過重労働防止対策に特化したものでなくてもよく、例えば、各種安全衛生計画の一部として、計画に必要な事項が定められていれば適と判断する。
計画の内容としては、従業員の過重労働防止対策の取組に関して、例えば、労働時間等設定改善委員会を設置し、必要となる取組を行っているもの、企業の労働時間の削減目標が明示され、そのために必要な取組が行われていること、長時間労働を行った従業員への健康管理の措置(単に労働安全衛生法第66条の8に基づく義務的措置ならず、少なくとも同法第66条の9に基づく健康への配慮が必要な労働者への措置が行われていること)など、具体的な措置内容が定められていることをもって評価する。なお、計画に基づく過重労働防止対策の実施状況としては、申請から少なくとも直近1年の間に計画に基づく取組が着手され、実施されていることを確認する。

②過重労働防止対策の計画を従業員と共有しているか
(例)いつでも閲覧できるよう社内掲示板に掲載
(例)全従業員にメール配信

(提出資料(例))
過重労働防止対策計画を従業員に周知していることがわかるもの(メール配信や社内のイントラネットの掲示板など。

(解説)
本項目は、①の計画が従業員と共有されていることを確認するものである。
例えば、社内のイントラネットの掲示板に掲示すること、従業員へのメール配信、社屋のよく見える場所に掲示されているなど、様々な方法で、従業員が容易に閲覧できる状況にあれば適と判断する。
ただし、これら掲示に関しては、そのような情報が掲示されている場所について、従業員に周知されている必要があること。

③計画の進捗や企業全体の過重労働防止対策に係る状況の分析を継続的に実施できる体制が整っており、当該分析結果の関係者への共有、分析結果に基づく次期計画への反映が実施されているか
(例)過重労働防止対策の進捗や成果、課題を共有し、必要となる対策を検討する会議を継続的に開催している

(提出資料(例))
計画の実施状況と実施結果に基づく分析を行う体制がわかるもの、当該分析結果の関係者の共有や見直しが行った場合の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、①の計画に対して、PDCAのうちのC(評価)、A(改善)がなされているかどうかを確認するものである。
ここでは、企業全体の過重労働防止対策の分析等に係る担当部署又は担当者がいることのみならず、分析結果等について関係者で共有できる体制(このことを議題とする会議の設置、開催等)が整備されていることも必要となる。ここでの担当部署や体制については、過重労働防止対策を専門に行うことを求めるものはない。
分析等を行っている場合は、申請に当たってその分析した結果のわかるもの、その内容を関係者と共有したことが確認できるもの(議事録の写しもなど)を添付する。

④従業員の労働時間をタイムカード等により適正に把握した上で、所定労働時間を超えて労働させた時間について、該当する従業員の管理者にその情報を提供し、社内基準に抵触する場合には、改善の取組を促しているか
(例)管理者に各従業員の毎月(過去6ヶ月の月別)の勤務時間を通知し、一定基準以上の勤務時間の従業員について業務負担軽減方策を検討させている

(提出資料(例))
時間外・休日労働の時間の把握・管理の方法、長時間労働者がいる場合の当該管理者への通知のルール、労働時間の状況から改善が必要な場合とする社内基準などがわかるもの

(解説)
本項目は、従業員の労働時間を客観的方法により把握し、所定労働時間を超えて労働させた時間について、該当する従業員の管理者にその情報を提供し、社内基準に抵触する場合には、改善の取組を促していることを評価するものである。
ここでは、①従業員の労働時間の客観的把握、②所定労働時間を超えて労働させた時間の特定(計算)、③管理者がそれら情報を把握する仕組み、④必要に応じ管理者に改善を促す仕組みについて確認するものである。

⑤1ヶ月あたりの時間外・休日労働が80時間を超える従業員に対し、医師による面接指導を従業員が受けやすいよう取組・工夫を実施しているか
(例)該当する従業員に面接指導の案内を通知する
(例)管理者が該当従業員に申出を行うよう直接勧奨している
(例)毎月、全従業員に面接指導の申出を促す電子メールを発信している

(提出資料(例))
本項目の取組、工夫の内容がわかるもの

(解説)
本項目は、1ヶ月あたりの時間外労働(休日労働も含む。)が80時間を超える従業員に対し、医師による面接指導を受けやすいよう取組・工夫がなされているかを評価するものである。
取組には様々あるが、例えば、従業員自らが時間外労働時間を把握できる仕組みがあり、80時間を超えたとして当該従業員に直接、面接指導の案内がされていれば、適と判断される。
なお、時間外労働時間の基準については、社内の面接指導の基準として、80時間未満の時間が設定され、その基準に基づき面接指導の対象とする取組が行われている場合は、より望ましいものであること。

⑥全社的な年次有給休暇の取得促進のための具体的なルールを設け、実施しているか
(例)計画的付与制度を導入している
(例)年2回特別連続休暇を取ることを推奨し、呼びかけをしている

(提出資料(例))
全社的な年次有給休暇の取得促進のための具体的なルールとその実施状況がわかるもの(社内規程など)


(解説)
本項目は、全社的な年次有給休暇の取得促進のための具体的なルールを設け、実施していることを評価するものである。
具体的には、例示にあるものがあるが、いずれの取組においても、社内においてのルール(又は取組)として設定されているものとする。ここで、単に特定の部署において時間外労働が多いことをもって、その改善を指示され、当該部署の管理職が自身の判断により部下に対して休暇を促している等、一過性の対応のみの取組みは、本項目に含まれない。

2-3-2過重労働防止対策の状況※実績を評価するもの

①過去3年間の全ての年において年次有給休暇の取得率が70%以上であるか

(提出資料(例))
過去3年間の年次有給休暇の取得率がわかるもの

(解説)
本項目は、過去3年間の全ての年において従業員に付与された年次有給休暇の取得率が70%以上である場合に評価するものである。
ここで、複数の事業場がある場合は、全従業員の平均とする(比例付与の者は、比例付与された日数を母数として取得実績を割り出す)。
申請企業のうち、当該基準を満たしているとする企業については、年次有給休暇の取得率の企業全体の状況がわかるもの(簡単な計算根拠となる資料)を添付すること。なお、本項目は実績を評価する項目であり、本項目を満たしていない企業については、取得率のみ記載し、計算根拠の資料は要しない。

②過去3年間の全ての年において1週間当たり40時間を超えて労働させた時間(いわゆる残業時間)が2ヶ月以上連続して月80時間を超えた従業員がいない状況であるか

(提出資料(例))
該当者がいない旨を記載した書面又は対象者がいないことが確認できる書類

(解説)
本項目は、過去3年間の全ての年において1週間当たり40時間を超えて労働させた時間(いわゆる残業時間)が2ヶ月以上連続して月80時間を超えた長時間労働を行った従業員がいない状況であることを評価するものである。
主旨としては、特定の部署や従業員が長時間労働を続けている状況がなく、健康管理の面から改善が図られていることを評価するものである。
申請企業のうち、長時間労働を行った者がいないとして本要件に該当する場合には、参考として、全従業員のうち残業時間が最も長い者の状況(直近1年でもよい)が確認できる資料も添付することとする。

2-4受動喫煙防止対策の取組状況※実績を評価するもの

①企業の全ての屋内の職場において、受動喫煙防止対策(全面禁煙又は空間分煙(※))を実施しているか
(※)換気設備を有する喫煙室以外の屋内の職場を禁煙としていること

(提出資料(例))
企業における受動喫煙防止対策の実施状況がわかるもの(例:社内規定、受動喫煙防止対策が記載されている実施計画とその状況、受動喫煙防止対策助成金額確定通知書など)

(解説)
本項目は、企業の全ての屋内の職場において、受動喫煙防止対策(全面禁煙又は空間分煙)を実施していることを評価するものである。
申請企業は全ての事業場について、全面禁煙又は空間分煙のいずれの措置がなされているかわかる資料を添付する。
ここでの「全面禁煙」とは敷地内全面禁煙だけでなく、事業場の屋内全面禁煙(屋内の職場を禁煙とし、屋外に喫煙所を設置)も含まれる。また、「空間分煙」で設置される喫煙室とは、当該室外にたばこ煙が漏れないよう当該室の出入口において0.2 m/s以上の気流を確保できる換気設備を有する室であり、職場の屋内に設置した開放系の喫煙スペースは含まれない。

3安全でリスクの少ない職場環境の整備

3-1安全でリスクの少ない職場環境の整備の取組
(リスクアセスメントの実施状況等)※取組を評価するもの
(企業の事業場のうち、製造業、建設業、運輸業など危険有害業務のある業種の事業場がある場合に限る)(注)

①安全活動のための計画(全社的又は事業場ごと)を策定し、着実に実施しているか
(例)経営会議、役員会議、労使協議会等の場を活用し、企業全体の合意形成を行った上で作成する
(例)本社の中央安全衛生委員会にて審議した上で作成し、継続的に実施状況を確認している

(提出資料(例))
安全活動のための計画(年間スケジュール表含む)及びその実施状況がわかるもの

(解説)
第3の3-1は、企業における安全活動に係る取組状況を評価するものである。第3の3-1の①から③までは、従業員参加の下、安全活動に係る取組がPDCAのサイクルで行われているかを評価するもので、本項目はPDCAのうちP(計画)、D(実施)が行われていることを確認するものである。
計画に関しては、必ずしも安全活動に特化したものでなくてもよく、例えば、安全衛生計画の一部として、計画に必要な事項が定められていれば適と判断する。
計画の内容としては、従業員に対する安全活動の取組に関して、具体的な実施時期や措置内容が定められていることをもって評価する。なお、計画に基づく安全活動の実施状況としては、申請から少なくとも直近1年の間に計画に基づく取組が着手され、実施されていること確認する。

(注)製造業、建設業、運輸業など危険有害業務のある業種とは「労働安全衛生施行令第2条第1号および同条第2号に掲げる業種(林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業)」が該当する。以下「3.安全でリスクの少ない職場環境の整備」の項目については同じ。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準8,9に相当
GSC中小評価事業評価項目5(1)~(2)、(4)に相当
COHSMS認定基準1-10(1)(2)、1-11(2)、2-9(1)~(3)、2-10(2)に相当

②安全活動のための計画を従業員と共有しているか
(例)いつでも閲覧できるよう工場のよく見える場所に掲示
(例)方針を全従業員にメール配信

(提出資料(例))
安全活動のための計画を従業員に周知していることがわかるもの(メール配信や社内のイントラネットの掲示板など)

(解説)
本項目は、①の計画が従業員と共有されていることを確認するものである。例えば、社内のイントラの掲示板に掲示すること、従業員へのメール配信、社内の見やすい場所に掲示されているなど、様々な方法で、従業員が容易に閲覧できる状況にあれば適と判断する。ただし、これら掲示に関しては、そのような情報が掲示されている場所について、従業員に周知されている必要があること。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準8(11)に相当
GSC中小評価事業評価項目5(3)に相当
COHSMS認定基準1-10(3)、1-11(4)、2-9(4)、2-10(4)に相当

③全社的に4S(整理、整頓、清掃、清潔)活動を継続的に実施するための具体的な方法を定め、実施体制を整えており、着実に実施されているか

(提出資料(例))
全社的な4S活動を継続的に実施するための具体的な方法、実施体制及び活動記録などの実施状況がわかるもの。

(解説)
本項目は、全社的に4S(整理、整頓、清掃、清潔)活動を継続的に実施するための具体的な方法を定め、実施体制を整えており、着実に実施されているかを確認するものである。
具体的な方法としては、安全衛生活動の実施要領の中に規定されていることが含まれ、実施の状況については、例えば、管理者が定期的に巡回を行い必要な確認、指導を行うなど、実施要領に基づき着実な実施のための取組が行われることをもって評価するものである。
ここで、4S活動の促進について、単に事業場内に看板を掲示して、自主的な取組(ポスター等)を図っていることだけでは該当しない。
全社的な取組が望ましいが、ここでは製造業、建設業等の危険有害業務を有する業種の事業場における取組を対象とするものであること(以下同様)。

(参考)JISHA方式OSHMS基準9(19)(20)に相当
GSC中小評価事業評価項目5(6)、レベル評価項目3に相当
COHSMS認定基準2-10(1)(2)に相当(4S活動は、COHSMS認定基準2-9(3)ハ「日常的な安全衛生活動の実施内容及びその実施時期」の事項に含まれる)

④ヒヤリ・ハット活動を継続的に実施するための具体的な方法を定め、実施体制を整えており、着実に実施されているか

(提出資料(例))
ヒヤリ・ハット活動を継続的に実施するための具体的な方法、実施体制及び活動記録などの実施状況がわかるもの。

(解説)
本項目は、ヒヤリ・ハット活動を継続的に実施するための具体的な方法を定め、実施体制を整えており、着実に実施されているかを確認するものである。
例えば、朝礼後のミーティングの際に、定期的にヒヤリ・ハット事例の報告を行うルールが定められており、その実績があることなど、継続的な取組を行うための方法があり、実例があることをもって評価するものであり、申請企業は、それらの取組や実績が分かる資料を添付する必要がある。
ここでは、単にヒヤリ・ハット活動の促進について声かけをすることのみで、自主的な取組のみに任せているものは該当しない。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準9(19)(20)に相当
GSC中小評価事業評価項目5(6)、レベル評価項目4に相当
COHSMS認定基準2-13(1)(2)に相当(ヒヤリ・ハット活動は、労働災害発生原因の調査に含まれる)

⑤危険予知(KY)活動を継続的に実施できる体制が整っており、実施しているか

(提出資料(例))
危険予知活動を継続的に実施するための具体的な方法、実施体制及び活動記録などの実施状況がわかるもの。

(解説)
本項目は、中央労働災害防止協会が提案するゼロ災害全員参加運動(ゼロ災運動)や危険予知訓練(KYT)などと同等の危険予知活動を継続的に実施するための具体的な方法を定め、実施体制を整えており、着実に実施されているかを確認するものである。
定期的に危険予知活動を行うルールが具体的に定められており、その実績がある等、実施を継続的に促進する取組と実例があることをもって評価するものであり、申請企業は、それらの取組や実績が分かる資料を添付する必要がある。ここでは、単に危険予知活動の促進について声かけをすることのみで、自主的な取組のみに任せているものは該当しない。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準9(19)(20)に相当
GSC中小評価事業評価項目5(6)、レベル評価項目2に相当
COHSMS認定基準2-10(2)に相当(KY活動は、COHSMS認定基準2-9(3)ハ「日常的な安全衛生活動の実施内容及びその実施時期」の事項に含まれる)

⑥過去の労働災害の事例の分析を継続的に実施できる体制が整っており、当該分析結果の関係者への共有、分析結果に基づく再発防止対策が実施されているか

(提出資料(例))
労働災害発生事例の分析を行う体制があることが分かるもの及び安全委員会等の報告書などの分析・再発防止対策の検討状況の実績が分かるもの

(解説)
企業における安全活動に係る取組がPDCAのサイクルで行われていることが必要であり、本項目では①の計画に対して、PDCAのうちのC(評価)、A(改善)がなされているかを確認するものである。
ここでは、企業の安全活動の分析等に係る担当部署、担当者がいることのみならず、その分析結果や次期計画への反映状況を関係者で共有できる仕組みが整備されていること(関係会議の設置等)も必要となる。申請企業は、分析等の実績がある場合はその概要と、関係者と共有した事実が確認できる会議の概要等の写しを添付することとする。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準12(1)~(5)に相当
GSC中小評価事業評価項目7に相当
COHSMS認定基準1-14(1)(2)(3)、2-13(1)(2)に相当

⑦リスクアセスメントの実施のための社内ルール(実施時期、実施体制、実施責任者、実施手順、実施後の対応方法等)を定めているか
(例)リスクアセスメントを含めた労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)導入・展開について推進計画を策定し、OSHMSの構築・整備を行っている。

(提出資料(例))
リスクアセスメントの実施のための社内ルール、リスクアセスメントに関する方針・手続を規定したもの

(解説)
第3の3-1-1の⑦から⑩までは、リスクアセスメントに係る取組が行われているかを評価するものである。評価に当たって参考となるのは、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年3月10日指針公示第1号)がある。
本項目はそのうち、リスクアセスメントの実施に当たっての社内ルール(実施時期、実施体制、実施責任者、実施手順、実施後の対応方法等)が定まっていることを確認するものである。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準6(4)~(13)に相当
GSC中小評価事業評価項目4、レベル評価項目1に相当
COHSMS認定基準1-8(1)(2)(4)、2-7(1)(2)(4)に相当

⑧社内ルールに基づいてリスクアセスメントが実施され、その結果が適切に記録されているか
(例)実施状況について、本社の担当部署が継続的に監査を行っている。

(提出資料(例))
リスクアセスメントの実施状況がわかるもの(活動記録など)

(解説)
本項目は、⑦の社内ルールに基づきリスクアセスメントが実施されているかを確認するものである。評価項目では、結果の記録も要件としており、申請に当たっては、その記録の一部(又は概観したもの)を添付することとする。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準6(4)~(13)に相当
GSC中小評価事業評価項目9アに相当
COHSMS認定基準1-8(3)(5)、2-7(3)(5)に相当

⑨リスクアセスメントの実施結果に基づき、必要な改善措置を講じる手順が定められているか

(提出資料(例))
リスクアセスメントの結果に基づく改善措置の手順を定めたもの

(解説)
本項目は、⑧のリスクアセスメントの実施のみならず、その結果を踏まえ、具体的な改善を行うための手順が定められているかを確認するものである。なお、本項目の評価においては、手順の策定のみならず、実際、当該手順に基づき改善措置が実施されていることも確認するものであり、申請に当たっては、当該手順を定めたものだけではなく、当該手順に基づき実際に行われた改善の事例の報告等の写しも必要となる。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準6(4)~(13)に相当
GSC中小評価事業評価項目4(4)、レベル評価項目1に相当
COHSMS認定基準1-8(1)、1-11(1)、2-7(1)、2-10(1)に相当

⑩リスクアセスメントの実施結果、講じた改善措置については、関係する従業員に情報提供しているか
(例)リスクアセスメントの実施結果等について、安全衛生委員会で調査審議し、その結果を周知している
(例)リスクアセスメントの実施結果等について、関係する従業員も含めた報告会を行っている

(提出資料(例))
リスクアセスメントの実施結果、講じた改善措置について、関係労働者への情報提供の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、リスクアセスメントの結果及びそれに基づく改善に係る取組が関係する従業員に情報提供されているかを評価するものである。
例えば、社内のイントラの掲示板に掲示すること、従業員へのメール配信、社屋のよく見える場所に掲示されているなど、様々な方法で、従業員が容易に閲覧できる状況にあれば適と判断する。
ただし、これら掲示に関しては、そのような情報が掲示されている場所について、従業員に周知されている必要があること。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準6(4)~(13)に相当
GSC中小評価事業評価項目4(5)、レベル評価項目1に相当
COHSMS認定基準1-9(2)(4)、2-8(2)(4)に相当

⑪安全活動(③から⑩までの活動を含む)の実施において、現場の従業員や労働組合など広く従業員の意見を求め、その意見を反映できる仕組みを設けているか

(提出資料(例))
広く従業員の意見を求め、その意見を反映させる仕組みのわかるもの

(解説)
本項目は、安全活動に関する計画策定や見直し及びその実施にあたり、従業員代表のみならず、現場の従業員や労働組合など広く従業員の意見を求め、その意見を反映できる仕組みを設けているかについて評価するものである。
ここでは、各種安全活動の実施前、又は実施する際において、現場の従業員等に対して意見を求める機会を設け、などの状況があることを確認するものである。
労働組合がある場合などには、定期的に安全衛生に関して本項目のような議題について意見交換を行っていることを確認する。
なお、常時設置されている、テーマを定めていないものによる意見募集はこの項目に該当する取組とは認められない。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準2(1)~(2)に相当
GSC中小評価事業レベル評価項目6に相当
COHSMS認定基準2-2(1)に相当

⑫構内下請事業場がある事業場(建設業であれば現場の関係下請事業者)においては、上記③から⑩の事項について、関係請負人と一体的に取り組み、指導支援を行っているか

(提出資料(例))
関係請負人と一体的に取組、指導支援の状況がわかるもの(構内下請との連絡協議会設置要綱、その実績が分かるものなど)

(解説)
本項目は、構内下請事業者が存在する場合に、安全活動が当該関係請負人と一体として取り組まれていることを評価するものである。
典型的な事例としては、安全に係る連絡協議会を設置し、必要な指導を行っていることがある。例えば、前記の例では、単に組織があることのみならず、具体的な活動状況の概要についての資料を添付する必要がある。
構内下請け事業者が存在しない場合は、本項目は該当しないものとすること。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準9(6)~(7)、(15)~(18)に相当
COHSMS認定基準2-9(3)、2-10(2)に相当

⑬事業場で想定される労働災害、事故時の緊急時対応が手順化され、関係者への教育訓練がなされているか

(提出資料(例))
緊急応対の手順書や関係連絡先の連絡網及びその教育訓練の実績の分かるもの

(解説)
本項目は、事業場で想定される労働災害、事故時の緊急時対応が手順化され、関係者への教育訓練がなされていることを評価するものである。
典型的な事例としては、火災や地震発生時の緊急連絡網や対応マニュアルが整備され、災害発生時の対応の訓練が行われていることがあるが、ここでは労働災害に係る応急措置など労働災害に対応した内容が含まれている必要があること。

(参考)
JISHA方式OSHMS基準10(1)~(5)に相当
GSC中小評価事業評価項目6に相当
COHSMS認定基準2-11(1)(2)に相当

3-2安全でリスクの少ない職場環境の整備の状況※実績を評価するもの(製造業、建設業、運輸業など危険有害業務のある業種に限る)(注)

①過去3年間の全ての年において企業の製造業等の業種の事業場の休業1日以上の労働災害の発生率が、同一業種の平均発生率(度数率)に比べ1/2未満であるか

(提出資料(例))
申請企業における関係事業場の度数率の状況がわかるもの

(解説)
本項目は、申請企業の労働災害の発生状況が、同業種平均と比較して相当低いことを確認するものである。
第1の2②との違いは、単に平均と比較して低いことのみならず、平均の1/2以下であることが求められる。その他解釈については、
第1の2②の解釈を参照すること。第1の2②の資料からわかるものであれば、度数率の数字だけで足りる。

②過去3年以内に、死亡災害又は障害等級7級以上に相当する労働災害、労働安全衛生規則第96条に規定する事故(爆発事故、移動式クレーンの転倒事故など)、電離放射線障害防止規則第42条(放射性物質が多量に漏れる等の事故)に規定する事故を発生させていないか

(提出資料(例))
該当事案がない旨を記載した書面(解説)本項目は、死亡災害又は障害等級7級以上に相当する労働災害、労働安全衛生規則第96条に規定する事故(爆発事故、移動式クレーンの転倒事故など)、電離則第42条(放射性物質が多量に漏れる等の事故)に規定する事故が発生していないことを確認するものである。
なお、障害等級7級以上(第1級から第7級まで)に相当する労働災害に関しては、労災認定がなされたもののほか、重篤な災害であって障害等級表の「身体障害」の欄に規定するものに相当すると判断されるものも該当する。申請に当たり、障害等級7級以上に該当するかどうかなど、発生した労働災害のうち疑義のあるものについては、申請受理局とあらかじめ相談すること。